イギリスの医療についてつらつらと書きました
とりあえず僕がイギリスで一番感じたことは
患者さんの医学教育に対する理解度の高さです
これは国民性なのか、それとも医療費の自己負担が全額タダなためかはわかりませんが
医者、または医学生を育てることが結局自分たちの健康にとってのメリットなんだということを患者さん自身が認識していることがすごく伝わってきました
一時はイギリスも医療崩壊を経験したと聞きましたが今ではそれはどこにもみられませんでした
具体的には、学生が上級医の紹介なしにいきなり自分であいさつして問診や身体診察をしても一度もいやな顔をされませんでしたし逆に俺が教えてやるという感じでした。
また回診中に実際に患者さんの身体を使って身体診察のとり方を教えてもらったり、患者さんの目の前で患者さんの病気の治療法について話しあったりしても快く応じてくれました
このような風土が根底にあるためか、イギリスの医学教育はとても身体診察を重要視していますし実際に明らかに向こうの学生の方ができると思います
ただ病気の病態などについては僕が参加したM3の系統講義を見た中では日本の方が詳しいところまで勉強していると思います
こちらはどちらかというと実践的な知識を重要視していて、講義にも実際に患者さんが来ていかに症状が始まってどういう検査をされどういう治療がなされたかを語っていましたし、講義内容もCASEをつくっての実践的な内容でした
学生のうちで実際の診療に役立つ知識をたくさん知っておいた方がいいのか、それとも病気の根底にある病態をきちんと把握していたほうがいいのかどちらが良いのかは今の僕にはわかりませんがとりあえずそのような違いははっきりとありました
また向こうの学生と交流して感じたことはとてもみんな国際的な視野を持っているということです。特に驚いたのは高校から大学に上がる前に一年間休みをとってその間にアフリカの病院でボランティア活動をしていたという話しを聞いたことです
それはごく一部の学生だけなのではないかと思いましたがいろんな話を総合するとアフリカなどの旧大英帝国の植民地でのボランティア活動は特にめずらしいことではなく、少なくとも日本のように一浪することに特に抵抗は感じていないようでした
MRI・CTなどの医療検査器具については日本の方が画質がきれいだったように思いますし結果が出るスピードも日本の方が早い印象でした。
ただ一慨にこれも言えることではなく例えばcardiologyをまわった時は何千万もする最新式のエコーを使ってましたし、cardiology専用にMRIがあるなどすごかったです。とりあえず画質はかなり鮮明で、また日本では横断面のMRIしか見ませんが、冠状断、矢状断の画像も普通に使っていましたし、さらにモーションMRIといってカラードロップエコーのMRI版みたいのがあって解剖がすごくわかりやすかったです
医療制度については国民保険制度ある分がアメリカよりもイギリスの方が日本に近い印象でしたが、
もっとも大きな違いの一つはGP制度がイギリスにはあることです
日本では患者さんはただのかぜ症状でもいきなり大学病院にかかることができますが、イギリスでは必ずGP(general practitioner)という町医者のような医者が地域ごとに存在していて初診は彼らに診てもらい、より専門的な治療が必要と判断された時のみ大学病院に紹介されてくる仕組みになっています
とりあえず、違いをあげればきりがないのですが勘違いをして欲しくないのはどちらの医療がより優れていてどちらが劣っているということをいいたくて書いているわけではないということです
例えばGP制度をいきなり日本に導入しても絶対うまくいきませんし、そもそも日本にももとからたくさんの優秀な開業医がたくさん存在していますからこれらの医療制度はその国々の文化や国民性に根付いたものでないといけないと思います
ただ、知ってもらいたいのは今の日本の医療制度が唯一のものではなく
他にも様々な医療の在り方があり場合によっては海外の医療を技術だけではなく制度もとりいれていった方が良いのではないかということです
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