2014/03/31

Beaujon Hospital=?iso-2022-jp?B?GyRCJEckTjxCPSw9Kk47ISM0NkFbGyhC?= と総括。

伴田一真です。
Beaujon Hospitalでの1ヶ月の実習が終了しましたので、総括したいと思います。

初日の感想で、英語が通じたと書きましたが、あれは運が良かっただけのようです。フランスは日本と似ていて、母国語以外の言語教育は恐ろしく遅れているみたいです。医者は普通に話せるのですが、看護師は話せない人が多いです。公共の場では、外人が集まるようなお店の店員は喋れる人が多いですが、駅の窓口や警備員、スーパーの店員などは全くダメなことが多かったです。一番すごかったのは、パソコンのGoogle翻訳も持ち出してきて、駅で対応されました。
ただ、日本とはまったく違い、フランス語と英語は同じラテン語系の言語なので、ニュアンスだけならかなり伝わります。日本人は全く伝わらないので、これは大きな違いです。
また、フランスは移民の国なので、多種多様な人種がいるため、日本人であっても病院で患者さんなどから不審がられるとこはありませんでした。むしろ、みんなフレンドリーなのです。日本の病院に黒人がいたら、患者は驚いてしまうでしょう。。。

今まで、パリでの生活、移植などについて投稿したので、最後は医者について書こうと思います。

フランスの医学生についてです。
フランスの医学部は全て国立です。
大学の医学部に入学を希望している高校生は、卒業時に理系一般バカロレア入学資格試験という、11科目以上(哲学なども含まれるみたいです)の試験を受け、全国で上位5万人が医学部のある国立大学への進学を許可されます。1年目は一般教養科目を学習します。1年目の終了時に、進級選抜試験が行われ、全国で7000人が2年以降の医学部進級を許可されます(ちなみに、日本の医学生は年間8000人らしいです) 。そこで進級できなかった人は、biologyや看護学部など、別の学部に進級するしかなくなります。もちろん、浪人する人もいるようです。フランスの医学部は日本と同じ6年制です。日本と同じく2年から本格的な医学教育が始まります。3年次からの医学教育が日本と全く異なります。3年生のからBSLが始まるのです。朝早くから病院に行き、昼までBSLを行います。指導医について、同じ患者を把握しなければなりません。カンファレンスで質問されることも多いです
。みんな必死に指導医について行き、なんとか把握しようと頑張っています。午後からは大学で講義があるようですが、出席は自由。各自で図書館で勉強する人もいるし、家でビデオ講義を見る人もいます。ようは、学末の試験にしっかり通れば進級できます。3年や4年でもしっかりした医学知識を持っており、私が質問したらよく教えてくれました。このような生活が卒業まで続くようです。ちなみに、ローテーションは2〜3ヶ月で、なんと、月100〜200ユーロが国から支給されます。プライドを持って勉強してそうな、優等生っぽい生徒が、日本より多かったです。
初めて手術に入って、皮膚を全く縫合したことがなかった4年生の女の子は、手術後に看護師から針を何本かもらってました。「私、初めてやったから全くできなかったわ、だから、すぐに練習しなきゃ」ですって。自分もその姿勢を身につけたいです。
男女比は1:2くらいで、日本の男女比と真逆な感じです。眼科と腎臓内科が賃金とQOLと、学問的面白さを総合して、人気みたいです。成績優秀な人は、循環器内科か外科らしいです。

医学部を卒業すると、成績が上位の人から、自分の専門を決めて行きます。そして、外科系5年間、内科系5年間、家庭医3年間のインターン期間に入ります。外科系は、半年ごとにローテーションします。病院が変わっていく先生もいました。給料は、1年目で1400ユーロ/月で5年目で2000ユーロ/月です。当直は100ユーロ/回らしいです。(1$=140\) 日本より少しいい位でしょうか。肝胆膵外科のインターンは、当直月5回、オンコール5回、移植当番3回くらいで、かなり忙しいみたいですが、日本みたいに、ボロボロになるまで大変そうという感じはありませんでした。外科の男女比は3:7くらいで、女性が多いからかもしれませんが。手術時間が短いのと、タイムフリーの手術がないので、その分病棟業務に当てれるからだと思いました。日本だと、朝から夜までずっと手術室で手伝わなきゃいけませんからね。
8:30からのカンファに向けて、7:30過ぎくらいにインターンは出勤してきます。手術は15時までにだいたいが終わります。平日の夜は曜日ごとに17:00〜20:00頃までいろんな科との合同カンファレンスがあります。内容は、難しい患者さんについて、病理カンファ、腫瘍学カンファ、移植カンファ、CPC(病理カンファの似てると思うのですが…)などです。
金曜日は半日使って次週の入院患者のカンファを行うのですが、外科のカンファに麻酔科医、放射線科医、オペ看、秘書など、いろんな人と一緒に話し合います。
一人の患者は、手術までに必ず1回は他科の先生との合同カンファで話し合われます。これも、あまり日本にないなと思いました。

患者さんについてです。患者さんはまず、症状があった時に家庭医のところへ行き、家庭医が専門機関の受信が必要か判断し、紹介状を書きます。日本のように、まず内科に送り、内科が手術適応だと判断して外科に紹介することもあるのですが、いきなり外科に紹介する場合も多いみたいです。日本の開業医は絶対しないことだと思いました。

手術に関してです。
こちらの病院の手術はとにかく時間が短かったです。日本と比較してみると、肝臓右葉切除は手術時間3時間で出血量400ml(日本は5〜6時間で150ml)、膵頭十二指腸切除は4時間で400ml(日本は10時間で150ml)、肝臓移植は4〜5時間で2000ml(日本は16時間で450ml)という感じです。手術時間は日本(私の比較対象は順天堂の肝胆膵外科)の半分ですが、出血量は日本の倍か、それ以上でした。もちろん、日本の平均的な外科医と比べてしまったら、出血量はこちらの方が少ないですが。術後合併症の頻度は、順天堂の方が少ない気がします。順天堂の教授はまさに神業と言われる所以を知った気がします。なぜ、これほどまでに早いのかというと、剥離スピードがかなり早いです。ためらいなく剥離して行きます。しかし、しっかりと大事な血管を結紮しながら進めていて、繊細な部分もありました。これはこれで、日本の外科医にはない技術だとおもいます。日本人の剥離が、慎重に、しっかり
と目で見て次にどうするかを塾考しながらなのに対し、こちらは、体に染み込んでいて、何万回も繰り返してきた動作を、反射的にやっているという感じです。流れるような手術でした。
合併症を起こさなかった患者さんの入院期間は、日本の半分から1/3程度です。日本の入院期間を先生に教えたら、研修医がかわいそうだねと言ってました。

馬場先生の医学英語トレーニングは、本当に役に経ちました。自分は、外科だったので、それにフランスだったので患者の問診診察ができなかったのは残念な点ですが、自分が考えていたよりも医学単語や、問診の時の言葉の言い回しなどが見についていて、医者と話す時に本当に助かりました。これがなかったら、まともな実習になっていなかったかもしれません。
本当にありがとうございました。

3月という、5.6月に行くみんなよりも早めに行っている分、その人たちの参考になればと、海外での率直な感想を、何回も、しかも長々と投稿させていただきました。
海外実習の前に、馬場先生に教わった、問診診察法、サマリーの書き方、単語帳、実習科のメジャーな疾患、解剖と日本での疫学・治療法など、外科に行く人は、さらに日本での術式と局所解剖などは抑えておいて損しないと思います。
そこの教授が世界的な第一人者なのなら、論文にも目を通してから行くと、どんなことをしているのか事前にイメージしやすいですし、教授との話のネタになります。
一つ後悔したのは、自分の大学の教授が出している論文も読んでから行けばよかったなと思いました。そうしたら、もっと日本のことを伝えられたのに。


言葉で表せるのはこれくらいになってしまいますが、言葉で言い表せないようなことは、もっともっとたくさん経験し、肌で感じることができました。一生この気持ちを忘れないようにしたいです。

最後に、この機会を作ってくださった肝胆膵外科の川崎教授、受け入れてくださったBeaujon HospitalのBelghiti教授、熱心に英語が全くできなかった私に医学英語指導してくださった馬場先生、この実習を許可し、金銭面で援助してくれた両親に感謝いたします。


以上で投稿を終わります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

1 件のコメント:

Cathy Turner さんのコメント...

肺移植は、患者の生活を根本的に変える可能性がある革新的な治療法です。しかし、適切なドナーの見つけや手術後のリハビリテーションは長期的なプロセスです。この過程で、医療チームとの密な連携が成功の鍵となります。肺移植は希望の光を提供する一方で、移植手術の個々の状況やリスクについての理解が不可欠です。 肺移植 日本